TokuteiJuku’s blog

特定社労士試験の勉強と受験

ザックリした話(その3)

 3月20日の記事で紹介した目次の(1)について、ザックリした話を書いてきましたが、今回がその3回目で、終わりです。昨年3月23日・24日・26日の記事の一部を、次に引用します。時間軸が1年古いことと、参照されている中央発信教材が第16回(令和2年度)用だということを覚えていてください。

第16回(令和2年度)民法の勉強法(補足)*******************

 令和2年(2020年)4月1日改正の民法で、特定社労士試験に出題されたらややこしい論点があります。それは、「消滅時効」(期間)と「遅延損害金」(法定利息)の問題です。

 「消滅時効」はそれまでの短期消滅時効の制度(はるか昔に「今日こそ日曜」と言って覚えました。)がなくなって、「賃金」も「退職金」も5年に統一されましたが、賃金は当面3年の経過措置があります。

 賃金債権の消滅時効期間が2年から5年に延長されるが、当分の間は3年というのは、こちらの厚生労働省リーフレットを見てください。

https://www.mhlw.go.jp/content/000617974.pdf

 「法定利息」については、商事債権6%・民事債権5%が、商事債権が廃止されて民事債権の3%(数字は変化します。)に統一されましたので、民法改正前に会社(商人)が支払を遅延した賃金は商事債権として6%として請求できましたが、民法改正後は会社の未払い賃金の遅延損害金は3%に統一されました、と言うほど話は簡単ではありません。退職金はこれで良いのですが(これでも未払い期間が令和2年4月1日をまたぐと改正前の民法が適用されて計算がやっかいですが)、毎月の給料は、「賃金の確保に関する法律」で遅延損害金が高く設定されています(賃金をきちんと支払わせる圧力だと思います。)。

「賃金の確保に関する法律」に次の条文があります。

(退職労働者の賃金に係る遅延利息)

第六条 事業主は、その事業を退職した労働者に係る賃金(退職手当を除く。以下この条において同じ。)の全部又は一部をその退職の日(退職の日後に支払期日が到来する賃金にあつては、当該支払期日。以下この条において同じ。)までに支払わなかつた場合には、当該労働者に対し、当該退職の日の翌日からその支払をする日までの期間について、その日数に応じ、当該退職の日の経過後まだ支払われていない賃金の額に年十四・六パーセントを超えない範囲内で政令で定める率を乗じて得た金額を遅延利息として支払わなければならない。

2 前項の規定は、賃金の支払の遅滞が天災地変その他のやむを得ない事由で厚生労働省令で定めるものによるものである場合には、その事由の存する期間について適用しない。

(平一一法一六〇・一部改正)

 

 つまり、(退職後の)毎月の給料(賃金)の未払い分の遅延損害金は年14.6%と定められているので、民法の特別法としての同法が適用されて、14.6%請求できるというか、調停・あっせんの申請書(答案)には14.6%と書かなければならないということになります(在職中に請求するなら法定利率の3%です。お間違いのないように。)。

 以上のような事情があるので、令和2年(2020年)4月1日をまたぐ、賃金や退職金の請求事件の問題を出したら、事例の事実を要件に当てはめて結末を予想するという曖昧な問題の解き方の基準より、上述の法律知識のあるなしで点数が決まるという、特定社労士試験の趣旨とは違う結末になりそうなので、出題しにくいのかなと推測しています。実際、最近の問題では「遅延損害金は考慮しなくて良い」と書いてあるし、退職後5年経過してから請求とかいう設例はみたことがないので、まあ、そうなのかな?と思っています。

 しかし、この話は、特定社労士試験とは関係なく、通常の社労士業務にも必要な知識なので、当たり前に出題されてもおかしくないかな?とも思っています。

 もう一つ、民法の時効と遅延損害金で気を付けなければならないのは、時効の起算点(何時から支払が遅延したのか?)の問題です。特に、賃金・退職金など契約の債務不履行に基づく遅延損害金とパワハラ、セクハラ等の不法行為に基づく賠償金では、支払義務が生じた時点の考え方が違う(それだけでなく不法行為消滅時効期間も違う)ので、これを書き分ける必要があります。この点も、「遅延損害金は考慮しなくて良い」という出題形式になっている一因かな?と推測しています。

 ここら辺りの論点は、(万一、出題されるとお手上げになるので)時間のあるうちに、民法の勉強と一緒に整理しておいてください。慌てて書いたので、何か、内容に自信がありませんので、ご自身でよく勉強してください(老婆心ながら。老婆ではなく爺ですが。)。

(注)特定社会保険労務士試験にも民法改正が少なからず影響しています。ここでのポイントは、民法改正のお陰で、法定利率は商事法定利息が廃止されたので、令和2(2020)年4月1日以降の(遅延損害金等の)法定利率は(当面)3%と覚えておけば良いと言うことです。もっとも、ここ数年、特定社会保険労務士試験第1問(労働紛争事例問題)の小問では、「遅延損害金の請求は不要」と注意書きがなされていて、3%や14.6%といった数字の使い方で悩むことはなかったのですが、さて、今後はどうなるのかは分りません。

(新注)この話は、昨年書きましたが、細かくて難しすぎるので、「法定利率が年3%になった」こと以外は、当面忘れていただいて結構です。

憲法と刑法が交わって労働紛争に影響している部分****************

 前回、民法の勉強が重要であるというお話をしましたが、果たして、「憲法と刑法の勉強はどうすれば良いのか?」という問題が残っています。どちらも入門書をお読みくださいと言ってしまうのは簡単ですが、特定社労士試験対策としては、ちょっとやり過ぎの感じがします(負担が重すぎる。)。よって、時々、憲法と刑法が労働紛争にもたらす影響に絞った説明をしたいと思います。私の昨年度の失敗の反省文みたいなことばかりを書いていると、私自身の気が滅入りますので、私が昨年度の受験勉強中に気付いた視点から、少しずつ説明をします。

まず、日本国憲法第31条は、「何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪われ、又はその他の刑罰を科せられない。」と定めています。この条文は、憲法の中で刑法に関する定めをした箇所の一部です。それでは、この条文が刑法に与えている影響について、次のWebsiteが分りやすく書かれているので、一度、読んでみてください。

http://kyo-in.com/narutameni/menkyo/reeport/post-284

 このWebsiteに登場している刑法の用語(例えば、刑罰法規の明確性、罪刑の均衡、刑罰の謙抑性、罪刑法定主義、事後法禁止など)が、労働紛争のどのような場面に影響しているか?について、お気づきになりましたか?

 会社で従業員(労働者)の懲罰に直面した方や懲罰を受けた従業員(労働者)から相談を受けた方は、理解しやすいと思います。それは、従業員(労働者)が、会社(職場)で不祥事(例えば、暴力事件、横領、無断欠勤、セクハラ、パワハラなど)を引き起こした際に、会社が当該従業員をどのように処罰するかということを考える際の基準が、この憲法第31条から導かれる刑法(刑罰)の基本原理に従って形作られているということです。

 「あいつは会社に損害を与えた悪い奴だから、即刻懲戒解雇だ!」と社長が叫んでみても、就業規則に懲罰するための手続(客観的証拠の収集、本人の反論の機会、公正な判断機関など)、対象となる行為(暴力、窃盗、横領、懈怠など)、悪さ加減に応じた懲罰のレベル・種類(譴責、減給、出勤停止など)などが定められていていなければ(過去の懲罰実績との均衡の考慮などの要素もありますが)、懲戒にはできないことは労働基準法から考えて当たり前だと思われるでしょう。実は、この労働基準法の考え方、実際の個別労働紛争の際の判例の考え方は、上記の憲法と刑法の考え方に基づくものなのです。

 したがって、従業員(労働者)の懲戒をテーマとする労働紛争事例の問題を解く際には、単に労働基準法の条項に適合しているかだけではなく、(民事なので直接刑法は適用されませんが)憲法と刑法の考え方を思い出して、果たして、合理的で社会的相当性のある懲罰の内容と手続がなされているかを検討してください。

併せて、従業員(労働者)の懲罰の際には、「一事不再理」、「二重処罰の禁止」という用語も考慮要素になる場合があります(過去問に出ています。)。これはご自分で調べてみてください。

(注)社会保険労務士の試験や仕事では、刑法の知識が要ることはほぼないとは思いますが、懲戒の場面では、刑法の概念がよく使われているので、ここで挙げた法律用語ぐらいは、法律学小辞典で調べておいてください。併せて、懲戒解雇の無効を争う場合の労働契約法の条文は、第15条(懲戒)であって、第16条(解雇)ではないということ、つまり、懲戒解雇は「解雇」の一類型ではなく、「懲戒」の一類型であるということを覚えておいてください。今、私の言っていることがまったく理解できなくても、心配しないでください。勉強が進むと、だんだん理解できるようになります。

中央発信講義の教材とビデオについて**********************

 8月下旬にA4で約530ページの「特別研修 中央発信講義 教材」(以下「本テキスト」という。)が8科目30.5時間のビデオの教材として送られてきました。その内容について、若干紹介します。

 最も試験に関係しそうで重要なのは、P9~の「専門家の責任と倫理」馬橋隆紀弁護士です。倫理事例問題の基本的な情報が全部載っていますし、馬橋弁護士のお話も蘊蓄があるので、時間があれば何度も聞いて、頭に叩き込んでください。特定社労士試験で30/100点を占める倫理事例問題ですが、社労士試験では問われたことも経験したこともない(はずの)分野なので、しっかり基本を身につけましょう。本テキストの最初に出てくるので、総論的なことを言っていて、あまり試験とは関係ないだろうとサラッと聞き流すなんてことのないように。

 私は、各パートの本テキストを読んで(予習して)からビデオを見ていきましたが、1回目の視聴期間が終わった後に、復習のためにビデオを観ることのできる期間が設けられていたので、再度、全部、復習のために観て、この講義の重要性に気付きました(なんでも後で気付く方です。)。倫理事例問題の情報源としては、本テキストと同時に送られてきた「第16回(令和2年度)特別研修 グループ研修・ゼミナール教材」P77~のゼミナール部分と関係法令等の書かれた参考資料が重要です(これらを使って倫理事例を解くテクニックについては、後日説明します。)。

 P39~の「憲法基本的人権にかかるもの)」毛利透教授では、基本的なことが書かれています。思想信条の自由、表現の自由職業選択の自由ぐらいまでをカバーしています。憲法第28条と労働三権の関係については、P123~「労使関係法」村田毅之教授のパートで出てきます。第二次世界大戦後の労働運動華やかなりし時代の名残で、労働法と言うと労働組合法のことだと私は学生時代に教えられましたが、現代は、個別(個人の)労働紛争に主役が交代していますし、特定社労士試験自体が、個別労働紛争手続代理業務の試験なので、知識として知っておく必要はありますが、ここの論点を問われる可能性はかなり低いと思われます(ゼロとは言いません。)。

 本テキストの残りの部分は、労働紛争事例を解く際の知識となるのですが、それぞれの講師がご自分で書かれた原稿を寄せ集めた感が否めず、全体を通しで読むと非常に読みにくいです。しかし、しっかり予習してからビデオを観ると、(全員とは言いませんが)それぞれの講師が工夫を凝らしてためになるお話をしてくれているので、まじめに視聴しましょう。法改正があって、ビデオを取り直して、継ぎ足した部分があって、講師が急に途中から老けたりしているのはご愛敬として、笑って許してあげてください。

 以上のように、本テキストは情報が満載で、試験対策の参考書またはハンドアウトとしては不適格だと思いますので、労働法に関するまとまった教科書が一冊欲しいところです。

(注)労働法の基本書としては、連合会の推薦図書の1つでもある、菅野和夫著「労働法<第12版>」弘文堂をお勧めします。基本書として優れていることと、私のブログでは、この本を引用する場合が多いことが理由です。民法の基本書としては、潮見佳男著「民法(全)第2版」有斐閣2019年3月25日第2版をお勧めします。菅野本ほど、小さな字がギッシリ詰まっているという感じではありませんから、読み易いと思います。

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 次回から第1回の試験問題の解説をします。

ザックリした話(その2)

 ザックッリとした話の続きとして、昨年3月20日と3月23日の記事の一部を、次に引用します。時間軸が1年古いので、そこは頭に入れて読んでください。

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第16回(令和2年度)特定社労士試験能力担保研修の反省

 

 第17回(令和3年度)に能力担保研修を受けて受験する方が、効率的に勉強のスケジュールを立てるために、第16回(令和2年度)のスケジュルール等を記しておきます。その後、私の経験とその時の反省に基づいて、受講する際の注意点を書きます。

<スケジュール等>

① 月刊社労士で、特定社労士試験の案内の記事を見つけて資料請求し、特別研修の申込をしました。月刊社労士令和3年3月号には、まだ案内の記事が載っていません。月間社労士に気を付けていてください。

② 特別研修(受講料85,000円)、申込受付期間 6月15日(月)~6月29日(月)当日消印有効でした。内容は、中央発信講義(e-learning) 計30.5時間8科目、9月4日(金)~10月2日(金)で、8月下旬に教材等が発送されてきました。

③ グループ研修(集合研修)計18時間3日、10月10日(土)10:00-17:00、11日(日)10:00-17:00、 17日(土)10:00-17:00 天満研修センター 約10名で12グループ(計約120名)、チューターは特定社労士でした。

④ ゼミナール(集合研修)計15時間2.5日、11月20日(金)10:00-17:00(申請書・小問3.4.5)、21日(土)10:00-17:00(答弁書・小問1.2)、28日(土)10:00-13:00(倫理) 天満研修センター 1クラス約40名3クラス、教官は弁護士でした。

② 紛争解決手続代理業務試験(受験料15,000円)、11月28日(土)14:30-16:30(集合14:00) 天満研修センター、再受験組も参加して講堂で実施されました。大阪会場の合格者数が100名なので、合格率61.9%から逆算すると、全部で160名前後の受験者数だったのかと推測されます。とすると再受験者が40名前後かなとは思われますが、正確には分りません。

<受講する際の注意点>

 まず、A4で約530ページの「特別研修 中央発信講義 教材」(以下「本テキスト」という。)が8科目30.5時間のビデオの教材になるのですが、各科目のビデオを見る前に、必ず、先に本テキストを読んでおいてください。(予習せずに)ビデオを流しながら本テキストを読んでも、ほとんど理解できないと思います。何故なら、憲法民法などの馴染みのない科目はもちろん、労働基準法や労働契約法に関する科目も、弁護士講師による条文や判例の解釈論などの説明が多くて、じっくり考えないと理解できないからです。本テキストだけでは、情報・知識の質・量が不足すると思われますので、それを補う民法と労働法の教材等については、また、後日説明します。

 ③のグループ研修では、A4で約160ページの「特別研修 グループ研修・ゼミナール教材」(以下「本教材」という。)を使います。第3日(最終日)には、本教材の設例1(あっせんの申請書)と設例2(あっせんの答弁書)をグループ全員で協力して作成し、チューターのサインをいただいて、ペーパーで事務局に提出します。私(たち)は、この話を第1日の朝、チューターから聞かされて、誰もそんなつもりで予習(答案のたたき台を作ってくるどころか、読んでもいない)をしていなかったので、グループ研修中で大枠の話をして、後は、分担して書いて、毎夜、メールやLINEやZoomで意見交換しながら、なんとか一週間で仕上げて提出しました。まじめに論点を整理して、要件事実を一つ一つ拾い上げて主張や反論をしていくと、1つの答案が10ページぐらいになるので、ワープロを打つだけでも大変です。是非、事前の準備を怠らないでください。併せて、本教材のグループ研修検討用課題が第1から第5まであって、これについてもグループ研修中に議論をすることになるので、予習をしてください。昨年は、このような親切な予告がまったくなかったので、慌てふためいた記憶があります。しかし、研修の二日前に嫌な予感がして、急遽、検討用課題5問について、一応回答案を書いていきました。グループのメンバーは、答案作成に追われていたので、初日の夜、私の手書きの回答案をワープロ打ちして、メンバーに回して、検討(議論)はことなきを得ました。

 私は、完全にこの試験を甘く見ていました。合格率50%-60%の試験だから、ビデオを観てグループ(集合)研修に出席しさえすれば、能力担保は楽勝で、試験に合格するところまで、チューターや教官が引っ張って行ってくれるだろうと高を括っていました。本年、研修を受けられる方は、くれぐれも事前の準備を怠らないでください。

 申請書と答弁書の答案の書き方についても、答案の求められる姿に関する情報提供が不十分で(自分で調べて考えなさいということみたいです)、最初の時点では、答案の完成形がまったく想像できず、メンバーで相談して、とにかく論点と要件と要件事実を全部書けるだけ書いて、後で削って体裁を整えるという作戦で臨みました。私は、申請書や答弁書を読む仕事をしてきましたし、現在もそのような仕事をしているので、一週間でもなんとかゴール出来るだろうと冷静に受け止めていましたが、申請書や答弁書を見たことのない人は、面食らったと思います。

 本教材の後半には、倫理の設例と関連する法令や倫理規範の条文が載っていますが、こちらは、④ゼミナールの最終日の午前中にやりますので、集合研修の時点では予習する必要はありませんでした(私は、これも予習していきましたが。)。ただし、この倫理の部分は本番で30点の配転と10点の足切りがあるので、試験対策としては、早く勉強を始める必要があります(この勉強の仕方については後日述べます。)。

 私は、10月10日のグループ研修の初日まで、過去問も見たことがなく(完全に甘く見ていましたから)、当日、グループのメンバーに、8月5日に発行された河野順一さんの「特定社会保険労務士試験過去問集 第16回(令和2年度)対応版」日本評論社を紹介してもらって、やっと過去問に触れることが出来ました。最も易しいはずの、第1回を解いてみて、「今のままでは答案が書けない」と自覚し、その過去問集を解きながら、徐々に勉強用の教材を整理していきました。直接の試験対策としてお金を出して買った教材は、この本1冊でした。恥ずかしながら、試験の合格発表があった社会保険労務士連合会のWebsiteに、全部の過去問とそれぞれの出題の趣旨が載っているのを初めて知りました。皆さんは、できるだけ早く、社会保険労務士連合会のWebsiteをチェックして、併せて、回答の解説が詳細な河野順一さんの本を買うのを忘れないでください。ただし、その本に書かれていることがすべて正しいとは限りませんので、そこはご自分の学力を上げて、ちょっと斜めから解説を読めるようになってください。

(注)昨年9月、第17回の受験生の方に中央発信教材を見せていただきましたが、教科書部分はほぼ同じで、練習問題は約1/3が変わっていました。もし、身近に昨年度(第17回)の受験生がおられたら、一度、見せてもらってください。これだけでは、到底、受験勉強にはならない(不十分)ということに気付くと思われます。

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第16回(令和2年度)民法の勉強法

 

 前回述べたA4で約530ページの「特別研修 中央発信講義 教材」等に、「参考図書のご案内」というA4両面の書類が同封されてきました。本来なら、この書類に書かれた図書をビデオを見るまえにチェック(使えるかどうか比較検討)すべきでしたが、私は、まったく無視していました。ただし、ポケット六法だけは、グループ研修の直前に購入しました。      

 それは毎年9月に翌年版が出版されるので、そのタイミングで同六法を買い換えたにすぎません(グループ研修の仲間がどうだったかは分りません。)。

その書面に掲載されていた参考図書は、次のとおりです。

① 労働法<第12版> 菅野和夫 著 2019年11月刊 弘文堂

② 労働紛争処理法 山川隆一 著 2012年刊 弘文堂

③ 最新重要判例200[労働法]<第6版> 大内伸哉 著 2020年3月刊 弘文堂

④ 労働法<第4版> 荒木尚志 著 2020年6月刊 有斐閣

⑤ 労働関係訴訟の実務<第2版> 白石 哲 著 2018年5月刊 商事法務

⑥ ポケット六法(令和2年版 )佐伯仁志・大村敦志編集代表 2019年9月刊 有斐閣

 何か足りない?そう憲法民法の本がありません。ビデオには、憲法基本的人権)3時間と民法(契約・不法行為)6時間、併せて9時間、9時間/30.5時間=約30%のウエイトがあるにもかかわらず。ならば、憲法民法は、ビデオだけで十分理解できる楽勝な科目なのでしょうか?漫才師の大木こだま風に言うと、「そんなわけ、あれへんやろう?チッチキチー!」でしょうね(笑)。

 例えば、第11回特定社労士試験の第1問(労働紛争事例)では、上司によるパワハラがテーマですが、この問題を解くには、不法行為使用者責任といった民法の基本概念の理解が必要ですし、第14回特定社労士試験の第1問(労働紛争事例)では、上司の圧迫と本人の解雇不可避との誤解によって書いてしまった辞職願の有効性がテーマですが、この問題を解くには、これも瑕疵ある意思表示(錯誤、詐欺、強迫等)という民法の基本概念の理解が必要です。

 実際、前述の河野順一さんの過去問集の第11回過去問の解説には、「労働法だけではトラブルは解決できない、労働法の知識だけではなく、憲法民法、刑法の基本三法、さらには民訴法・刑訴法の知識まで必要である」と書かれています。私も同感です。

 余談ですが、第11回から徐々に問題文が長くなって試験の難易度が上がってきたな、と感じていました。第16回を受験したとき、第15回より問題文が長くて難易度が上がったかな?と思いましたが、第16回はこれらの民法の基本概念そのものを問うものではなかったので、論点の難しさという意味では、第15回より下がった、その結果、合格率が上がったのではないか?と推測しています。

 これからも、民法の基本概念そのものを問う問題が出題されると、きちんと民法を勉強してない受験生にとっては厳しいことになると思うので(第17回が2021年4月1日施行の改正民法を問うかもしれませんから)、しっかり民法の勉強をしておくことをお薦めします。

 六法を開いて民法の目次をみてください。特定社労士試験に関係のありそうな箇所は、次のとおりです。

第1編 総則

第3編 債権 第1章 総則(第1節 第2節) 第2章 契約 第4章 不当利得 第5章 不法行為

 これらを効率良く勉強するための教材(基本書)として何が良いか?ということになります。余りコンパクトなものは理解するのに必要な説明が不足しますし、余り分厚い(何冊も分冊がある)と読むのが大変になるので、読みやすくてちょうど良い長さ(分厚さ)の教材はないのか?という声が聞こえてきそうですね。答えは、「そんなもん、あれへんやろう!」では話にならないので、お答えします。

 私は、内田貴著「民法Ⅰ~」東京大学出版会が横書きで絵が付いていて好きなのですが、何せ量が多いので、資格試験対策でサクサク勉強したい方には、道垣内弘人「リーガルベーシス民法入門第3版」日本経済新聞社が1冊で必要十分じゃないかと思います。伊藤塾やLECのような司法試験予備校から読みやすい教科書が出版されているので、分り易さを求めるなら、それらも十分役に立つとは思いますが、私自身が最近その手の本に触れることがないので、私から推薦はできません。

 いずれにしましても、ご自分で本屋さんに行って、現物を見て、財布とも相談して、ご自分で本を選んでください。少なくとも、私がここに書いた(これから書くものも)本の著者から何かの利益供与の約束をしているということ(読者に疑念を抱かせるような密約)は、一切ありませんので。

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 前回紹介した概論の本、ポケット六法、法律学小辞典および池田真朗著「民法は面白い」以外の本は、慌てて買う必要はなくて、勉強の進み具合に応じて買って読めば良いし、場合によっては、なくても済まされると思います。これら以外にも、是非、買って読んで置いて欲しい本がありますが、それは、また後日紹介します。情報量が多すぎて、しかもあっちこっちに分散していると受験勉強の効率がおちるので、最小限の本を目的を決めて読み必要な箇所を理解して、さらには暗記するという手法をお勧めします。本を買い集めて、本棚に並べるのが趣味のコレクターの方は、止めはしませんが・・・。

 だいたい、民法+労働法の勉強も終わっていないのに、労働判例百選とか民事訴訟法の本を読んで、理解できる訳がない(勉強は基礎から応用へ)と考える、今日、この頃です。

 

追伸

 ジョン・ダワー著「増補版 敗北を抱きしめて(上)」岩波書店2004年発行を読んでいて、社会保険労務士なら知っていて損はない(というより、知っておいた方が良い)箇所を見つけましたので、少し紹介します。

 現在は「ハローワーク」と呼ばれている「職業安定所」という旧名称は誰がつけたかご存じでしょうか?また、戦前・戦時中は何と呼ばれていたかご存じでしょうか?(私も知りませんでしたから)同書第7章P312中から一部引用します。

『(略)第一ホテルのバーの女性従業員でさえ、「職業安定所」という名称を提案して、日本の労働慣行史上にその足跡を残すことになったのである。彼女は、戦時中に「労働奨励事務所」として知られていた労働者採用のための役所の呼び名を、終戦後に「職業安定所」へと変更してはどうかと提案して、GHQに採用され、それ以降、この名称が使われることになったのである。(略)』

 

 戦後制定された労働法の根幹となる「労働基準法」は、誰が草稿を書いて、制定に尽力したかご存じですか?(私も知りませんでしたから)同書第7章P312-313中から一部引用します。

 『(略)その制定過程は、かつて思想警察のメンバーだった寺元広作という人物による。(略)1946年の夏に寺本は、事前に通告もせず、しかも自らの正体も明らかにしないで(GHQ労働課長のセオドア・)コーエンの事務所を訪れた。この時、寺本は、労働者を保護するための法案の膨大な草稿を持ち込んだ。後になって分ったことだが、当時、寺本は厚生労働省基準化の課長で、部下とともに数カ月間このプロジェクトに取り組んできたのである。(略)

 実は、寺本は終戦後の混乱した状況を利用して、GHQが労働条件について強力な規制を行うよう要求をしているということを、産業界をはじめ官僚、政治家などさまざまな分野の人々に説得したのである。このような隠れ蓑を使って、寺本と彼の数名の部下たちは、ほとんど独力で、戦前に軍部によって失効させられていた労働法規の条項だけでなく、国際労働機関(ILO)の協定の詳しい分析にも基づいて、労働者を保護するための包括的な基準を起草したのである。(略)新たに制定された労働基準法の第1条は、個人の価値に対する感覚をもつことの大切さを雄弁に教えている。これは、今日ではあらゆる民主主義革命の基礎をなすものとして認められている者である。(略)』

 

(注)下線部分は私が加えました。

 

 毎日新聞の書評を読んで、太平洋戦争の終戦後のGHQによる占領下の日本の状況をよく表わした本だということで、興味が湧いて読みました。戦中、終戦後、高度成長期、バブル(崩壊)、失われた20年、聖域なき構造改革新自由主義)などの歴史があって、今日の労働環境が形作られているので、将来のあるべき姿を想像した上で、今の問題をどう解決するか?を考えるきっかけになると思います。時間があれば読んでみてください(受験勉強に必須ではありません。)。

 

ザックリした話(その1)

 特定社会保険労務士制度がどのようなもので、試験がどのような試験で、どのように受験勉強をして、合格までの道のりを描くのかと言うことのために、まずはザックリとした話を書きます。

 昨年3月20日と3月25日の記事の一部を、次に引用します。最後に今の考えをコメントします。

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 「社会保険労務士は法律の専門家ではない。」ということを言われた特定社会保険労務士の先輩がおられます。司法書士試験には、憲法民法、刑法が試験科目に含まれていますし、行政書士試験にも憲法民法が含まれています。一方、社会保険労務士試験には、いわゆる六法が1科目も含まれておらず、行政法の一分野の労働関係法令について、(記述式はなく)選択肢方式の試験のみで合否の判定が行われています。これでは、まともに法律の勉強をしたとは言えないでしょう。そんな社会保険労務士に、いきなり法律の記述式の試験をしても、まともに歯が立つ訳がないというのが、特定社労士試験を受験してみての感想です(司法書士行政書士試験を経てきた方は別ですが。)。

 私は、第16回(令和2年度)紛争解決手続代理業務試験(以下「特定社労士試験」という。)に、1回目の受験で合格しました。本格的な勉強を始めたのが昨年10月からで、約2か月の受験勉強期間中に、勉強仲間と情報交換や意見交換をしながら、第1回から第15回までの過去問を2回解き、傾向と対策を検討して、実行に移しました。その途中で作成した教材などもあります。

 私は、大学は法学部を卒業し、会社員時代のほとんどは企業法務関係の仕事をしていました。定年退職後、社会保険労務士中小企業診断士の事務所を大阪府で開業し、ボチボチと仕事をやっています。30歳前後に、資格試験を受け続けた時期があり、行政書士宅建主任者、一般旅行業務取扱主任者などの試験にも合格しております。そういう意味で、多少なりとも法律の勉強をし、資格試験にも慣れています。

 何を言いたいかというと、これから、(特定社労士試験に必要な範囲で)法律の勉強を一からして、最終的に、2時間で、黒色のボールペンを使って、手書きで200字~300字の文章の答案を数問書くとういうレベルまで持って行って、特定社労士試験に合格するための勉強方法をこのブログで一部公開しながら、本年5月からは、通信添削の塾を開校したいと考えています(実際は、9月でした。)。

 本年、第17回特定社労士試験のための能力担保研修を受ける方のために、昨年、第16回のときの経験談から説明を始めたいのですが、再受験の方など、もう直ぐに勉強を始めたいと考えておられる方がいると思いますので、まず、憲法民法・刑法の基本(大学の一般教養の法学概論程度)を勉強する方法をお教えします。

最初に読む入門書としては、読みやすい(理解しやすい)順番に、①「法の世界へ 第8版」池田真朗、②「法学テキストの読み方」大橋洋一、③「民事法入門 第8版」野村豊弘他(この本には刑法が含まれていませんが、良く書かれています。)の3冊をお薦めします。本屋で実際に見比べて、ご自分が気に入った1冊を2回ぐらい読むと法律の世界の入り口が分ります(私が5冊読んだ中から3冊をお薦めします。)。

 法律書を読む際には、条文が出てきたら必ず、六法で条文そのものを確かめてください。特定社労士試験対策なら、憲法民法、刑法、労働基準法などの載っているポケット六法や模範六法で十分です。令和3年版のポケット六法には、改正後と改正前の民法が載っていて、過去問で改正前の民法についての質問への回答例や解説が、改正前の民法に基づいて書かれているので、過去問の解説を読む際に便利です。また、ポケット六法の場合、例えば、労働安全衛生法が載っていないなど労働関係法令が少ないので、仕事用は別途、労働関係法令が手厚く載っている六法を買う(既にもっているかも?)ということになると思います。

 併せて、法律用語(例えば、瑕疵、善管注意義務、信義則など)に慣れ親しむために、有斐閣法律学小辞典(小さい方ですよ)を買って、分らない法律用語が出てきたら調べるようにしてください。ネット検索では、法律家による正確かつ普遍的な説明になっていないことが多いので、頼りになりません。

 (見たことのない新問など)どんなに難しい問題に出会ったとしても、必ず60点以上得点できる実力を身につけるためには、回り道かも知れませんが、地道な努力が必要と考えています。昨年の経験談、労働法令についての勉強方法の説明の後に、紛争事例問題と倫理事例問題では、解法のテクニックが違うので、それぞれに合わせた傾向と対策についても徐々に説明していきます。

 (免責条項)このブログは、私の個人的知識・経験・見解に基づいて書いておりますので、情報の正確性および読者にとっての有用性については、一切保証いたしません。つまり、貴方が特定社労士試験に合格するか否かは、貴方の勉強(奮闘努力)に掛かっており、私の関知するところではなく、合格を保証するものではありません。悪しからずご了承ください。

 

(注)2022.3.11の記事にも書きましたが、池田真朗著「民法は面白い」講談社現代新書2012年12月発行は、今回の民法改正前に書かれた本なので、改正後の個別の条文は反映されていません(改正作業の最中に発行されていますから)が、個別の条文の知識の習得を目的とする本ではない(むしろ民法のマインドを学ぶための本)ので、今、読んでも十分に役に立ちますから、上記の本の次に、是非読んでみてください。後日、労働法の本も紹介します。民法については、概要書に加えて、もう一冊、高名な法律学者によって書かかれた民法改正後の基本書が必要と考えます。私は、潮見佳男著「民法(全)第2版」2019年3月25日第2版を使っています。

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特定社会保険労務士の仕事とは?

 

 Wikipediaで、「特定社会保険労務士」を探していただければ、説明が載っています。良く書かれていますが、データが古いのが難です。

 特定社会保険労務士は、個別労働関係紛争の当事者が、都道府県労働局の紛争調整委員会や民間ADR機関にあっせん申請等を行う場合(また、あっせん申請等の相手方となった場合)において相談に応じ、また代理人として代理業務を行います(特定でない社会保険労務士にはできません。)。なお、個別紛争解決手続代理業務には、紛争解決手続と平行して行われる和解交渉、和解契約の締結が含まれますが、特定社会保険労務士であっても、紛争解決手続の開始前に、代理人となって事前交渉することは認められません(注)。ここで代理業務を受任できる事件とは、次のとおりです。

 

  • 個別労働関係紛争解決促進法に基づき都道府県労働局が行うあっせん手続の代理
  • 男女雇用機会均等法に基づき都道府県労働局が行う調停手続の代理
  • 育児介護休業法に基づき都道府県労働局が行う調停手続の代理
  • 短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律に基づき都道府県労働局が行う調停手続の代理
  • 個別労働関係紛争について都道府県労働委員会が行うあっせん手続の代理
  • 個別労働関係紛争について厚生労働大臣が指定する団体が行う裁判外紛争解決手続の代理(紛争価額が120万円を超える案件は弁護士との共同受任)

 

 上の5つは行政機関が行う手続で、最後の1つが、民間(社会保険労務士会等)が行う手続です。これら以外にも司法(裁判所)が行う労働紛争解決システムがあり、訴訟や仮処分以外に、特に最近申立件数が多くなってきている(平成18年4月から運用が開始された)労働審判制度があります。残念ながら、いまだ、特定社会保険労務士であっても司法の場への参入はできておらず、これらの手続の代理業務はできません。

 特定社労士試験の倫理事例問題では、通常、社会保険労務士法第22条2項各号に定められた依頼者の仕事を受任できない場合への該当性から、他の条項等を考慮しながら受任の可否とその理由を検討していくのですが(この解法のテクニックについては後日解説します。)、第9回(平成25年度)は異質な論点が登場しています(他にも派遣社員の派遣先・元との関係、完全親子会社の一体性などの例もあります。)。それは、弁護士法第72条に定められた非弁活動の禁止と特定社会保険労務士の受任の可否の問題です。

 この過去問は、特定社会保険労務士社会保険労務士法の定めや倫理規範によって、受任を断るべきか否か、という問題以前に(入り口の手前で)弁護士法で、受任が禁止されている場合に該当しませんか?と問うています。倫理事例の問題が、だいたい同じパターンになってきたので、今後この種の問題が出題されるようになるかもしれない(既に1回でていますが)ので、要注意です。社会保険労務士法を知っているだけでは解けませんから。

 ちなみに、この弁護士法第72条の論点については、神奈川県弁護士会Websiteに「4 弁護士と社労士の違い」というQ&Aが載っていますので、それを見ていただければ懇切丁寧に解説されています。これです。↓

http://www.kanaben.or.jp/profile/lawyer/lawyer04/index.html

 

 さらに、茨城県社会保険労務士会Websiteに、「社労士と社労士制度 よくある質問(Q&A FAQ)」というタブがあり、そこに次のQが載っています。

 「社会保険労務士は、例えば労働者の賃金未払い等の問題について労働者から依頼があった場合に、労働者と共に、あるいは単独で事業所に行って、労働法関係の専門知識を生かして事業主に対し賃金を払うように主張、交渉等をすることはできますか。」

Aは、ご自身でお確かめください。→ https://www.ibaraki-sr.com/FAQ

 余談ですが、「活用しよう 労働委員会 理論と実践 Q&A」大阪労働者弁護団・編 耕文社、という本を図書館で借りてきて読みました。これは上記の手続の4番目の労働委員会による不当労働行為救済手続(要するに、労働組合活動に対する不当労働行為に関する紛争がメイン)について、申し立ての仕方から、戦い方から、和解の仕方まで(その他諸々)について、実務的に解説されていて非常に興味深く読みました。しかし、皆さんの特定社労士試験の受験には、ほとんど関係ないと思われるので、今はお薦めしません。実務で要るときが来たら読んでください。2007年の初版から改訂されていませんので、もし、将来読まれるなら改訂版が出版されているかどうかを確かめてください(老婆心ながら、爺ですが。)。

(注)この下線部分は、第17回第2問(倫理事例問題)で問われました。倫理事例の出題パターンとその解き方については、先で、詳しく説明しますから、今は、そんな設問があるのだな、程度に理解しておいてください。

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 以上、まずは、どんな勉強をしたら良いかの入り口を紹介しました。

 

追伸

 今朝、3月27日(日)朝8:30からのTBSの地上波の番組「がっちりマンデー」で、三菱鉛筆のジュットストリームというボールペンを紹介していました。とにかく、書きやすくて馬鹿売れだそうです。なぜ、このようなお知らせをしているかというと、特定社労士試験本番で使うボールペンの選定に役立つと思ったからです。私は、情報収集のために、毎週この加藤浩次氏が司会をする番組を見ています。TVerでも一週間見られますから、是非、この「儲かる!億ヒット!」の回を観てください。私は、番組からも三菱鉛筆からも、一銭もいただいておりませんので・・・。

 

 

 

第18回(令和4年度)特定社会保険労務士試験に向けて

 昨年(2021)年3月20日にこのブログを開設してから、約1年が経過し、記事も100本を超えました。昨年の第17回(令和3年度)試験に向けてのブログの記事は、かなり無計画というか、とにかく合格のために必要な情報の質と量を確保するという方針の下、私が気がついたことを忘れずに書いておくことと、読者のリクエストにお応えすることの2点に主眼をおいて記事を書いてきました(時々、余計なことも書きました)。よって、一気に全部の記事を読んで、受験勉強の参考書にしようとすると、まとまりのない(徒然草のような)膨大なサブノートのようになっていたのだと反省しています。

 この点、本年度は、最初に全体像とスケジュールをお示しして、皆さんのペースメーカーになると同時に、後から、全部を読み返してもスッキリしたものにしたいと考えています。それと、私のコラムのような記事は、独立した記事として書くことは止めて、気が向いたら時に、記事の最後に追伸として書くことにしました。また、これから初めてこの受験勉強を始められる方が多いと思われますし、受験勉強用の情報の内容が昨年度と大きく変わるようなことはないので、昨年度の記事を再度掲載する(適宜修正して)ことを多用しよう考えています。よって、昨年度の記事をもう一度読み返す必要はないものと思われます。

 さて、第18回(令和4年度)の試験に向けて、このブログの内容とスケジュールをここで予告しておきます。

1.記事は、3月26日(土)から7月30日(土)までは、毎週、土曜日の午前零時 (金曜日の夜中)にアップします(その後は、進捗を見て、また考えます。研修の前に は研修の準備と受け方の説明なども。)。

2.記事の内容の概要とそのアップする順番は、次のとおりとします(予定なので変更になることはあります。)。

(1)試験の手続と内容の全体像つまりザックリした話(受験申込から能力担保研修を経て受験までと出題内容、連合会から提供される教材、参考図書、勉強の仕方、研修の受け方など)

(2)第1回の過去問の詳細な解説(最近はずいぶん変化しているとは言え、これが肝ですから。)

(3)最近の試験問題の構造の分析(大きくは、第1問(労働紛争事例問題)・第2問(倫理事例問題)で、それぞれが小問に分かれています。各小問の趣旨と回答の仕方とその理由。法的三段論法など。)

(4)労働紛争事例問題を解くための論点ブロック(論点ごとの要件を記載)とその使い方

(5)倫理事例問題を解くための社労士法等の関連条文の逐条解説とそれらを駆使して回答を作っていく手順

(6)第2回から第14回までの過去問の回答例と解き方の解説

(7)過去に出題されていない論点(新分野)についての考察

(8)第15回~第17回の過去問の解説などは、進捗具合を見ながらスケジュールを考えます。

(10)9月~11月の能力担保研修に関する情報提供は、9月になってから始めます。

3.おそらく、これらの記事(すべてWordで、先に原稿を書いています。)を全部印刷するとA4で500ページを超えるものと考えられると思われるので、塾生向けに、別途、200ページ以内に集約した参考書と練習問題集を作りたいなと考えています。それと、9月に募集予定の塾生には、昨年同様、通信添削をやりたいと考えています。

4.過去問とその出題の趣旨等は、全国社会保険労務士連合会のWebsiteに掲載されています。まずは、どんなものか一度見てみることを進めします。ログイン後、「業務関連情報」→「紛争解決手続代理業務」→「紛争解決手続代理業務試験について」の順番でたどって行くと、すべての過去問等がアップされています。

 以上の段取りで進めますから、検索エンジンでこのブログにたどり着いた方は、今回より、前の記事は読む必要がありません。もし、最初から読んだりしたら、頭が混乱するのじゃないかと思う、今日、この頃です。

合格発表がありました。

第17回は、かなり難しかったようで、合格率が低かったですね。出題の趣旨を読みました。だんだん複雑化して細かい論点を突いてくる傾向が明確になりました。そこまで求めるなら、過去問を繰り返して解くと言う方法だけでは、合格ラインに届かないだろうな、と思いました。
明日から、第18回に向けた記事を週一で、毎週末にアップして行きますから、本年第18回を受験予定の方は、毎週末閲覧してください。昨年度より、整理整頓して、読みやすい記事をアップして行きます。
明日、日曜日午前0時に最初の記事をアップします。

民法は面白い

 私は、特定社会保険労務士試験第1問(労働紛争事例問題)では、今後、民法の論点(例えば、パワハラなら不法行為使用者責任、辞表なら瑕疵ある意思表示)が問われることが多くなるのではないかと考えています。

 特定社会保険労務士試験で直接問われる論点は限られているとは言え、民法の勉強は、やはり財産法の部分は全部一通りやらないと、本当のところは理解できない(したがって、試験でも仕事でも使えない)、しかも、民法の上に乗っている労働法も理解できない、と思う、今日、この頃です。

 よって、労働法の基礎である民法の勉強をする特定社会保険労務士試験の受験生に、(試験対策だけでなく実際の仕事でも必須の)民法を効率的に勉強していただくために、どのような勉強方法がベターか(ベストなど思いつくはずがありませんから)をずっと考えています。そこで、一例として、民法の勉強(教え方)の斬新な方法(当時は)として、伊藤真塾長の民法入門講座のお話をしました。

 私自身が、伊藤真塾長みたいにテキストを書いて、それを使って授業をする力量も人気も資力もないので、何か、皆さんが手に入れ易い既存の良い教材はないかと色々探した結果、やっと、見つかりました。

 それが、池田真朗著「民法は面白い」講談社現代新書2012年12月発行(以下、「池田本」といいます。)です。今回の民法改正前に書かれた本なので、改正後の個別の条文は反映されていません(改正作業の最中に発行されていますから)が、個別の条文の知識の習得を目的とする本ではない(むしろ民法のマインドを学ぶための本)ので、今、読んでも十分に役に立ちます。

 第18回(令和4年度)特定社会保険労務士試験を受験される方は、受験勉強を始める前(5月末まで)に、是非、読んでみてください。その際、分らない法律用語が出てきたら、必ず法律学小辞典5で調べるようにしてください。知識が定着します。

 池田本が、意外と読みやすい本であることをお示しするために、以下、少し引用して紹介します。

<P20-21>*********************************

私法の木

 多くの読者は、「この木何の木・・・・・」というコマーシャルをご存じだろう。あのCMに出てくるような、枝を四方八方に伸ばした、大きな木をイメージして欲しい。私法分野でいえば、その真ん中の幹にあたるのが、民法なのである。商法も、会社法も、手形法も、消費者契約法も、借地借家法も、製造物責任法も、この民法の幹から出ている枝と思ってくれればいい。さらに、別の考え方もあるが、労働契約法や特定商取引法(かつての訪問販売法)なども、この枝と考えていい(民法を中心に「民事法」という木を考え、労働法は「社会法」という別の木とする考え方もあるし、特定商取引法については、「経済法」あるいは「消費者法」という別の木という考え方もあるが、それらすべてを広く一本の「私法」のとするならば、民法がその幹にあたるのである)。

(注)「私法」の対立用語は「公法」です。ザックリ言うと、憲法、刑法、行政法など行政機関がかかわるものが「公法」で、民法、商法などの私人間の取引等にかかわるのが「私法」です。労働組合法や労働基準法などは、どちらかな?と考え出すと、夜も眠れなくなりそうです(これも古いギャグです。)。詳しくは、法律学小辞典5を参照ください。

<P134-135>*********************************

大企業と中小企業の資金調達手段

 さて、重要なのはここからである。そもそも企業はどのような手段で資金を調達するのか。法学部の少しわかっていそうな学生にこういう質問をすると、「株や社債で調達します」という答えが返ってくる。新株を発行したり、社債を発行して、それを投資家に買ってもらうのです、というのである。

 正解、と言ってあげたいところなのだが、じつは単純にそうはいかないのである。たしかに、大企業の場合はそれでいい。けれども中小企業のなかの多くのところではどうか。・・・(中略)・・・。中小企業の多くは、(もちろん全部ではないが)、信用力が低いために、株や社債の発行によるいわゆる市場性資金が取れず、大学で教わったようなやり方では、資金調達ができないのである(ということはすなわち、株式関係の会社法社債の関係の法理乙の知識は、中小企業の資金調達を考える場合は、実際には使わないことになるケースが多い)。

 その結果、・・・(中略)・・・。だから民法は中小企業の金融法なのですね、とまずは納得してくださるだろう。ただ、納得してくださるのはありがたいがのだが、これだけでおわりならば大したことはない。話はさらに続くのである。

(注)私の経験から言うと、上場会社だから、新株発行、株式分割普通社債新株予約権社債の発行、外債の発行などが出来るのであって、(スタートアップ企業にベンチャーキャピタルが出資する場合を除いて)中小企業の場合、金融機関からの借入が主な資金調達手段であると思います。そして、その際に利用されるのが、民法に基づく、金銭消費貸借契約、物的担保、人的担保などのツールであるというのも納得できます。したがって、この本は、中小企業診断士である方と中小企業診断士を目指す方にも読んでいただきたいと思う、今日、この頃です。

<P170-171>*******************************

持続可能な社会と持続可能な個人生活のために

 最近、サスティナブル(sustainable)という言葉がよく使われる。一昔前には聞きなれなかった言葉である。支持できる、維持できるなどの意味から、現在では、持続可能な、とか、ひいては、環境を破壊しない、などの意味で使われるようになっている。

 (中略)

 社会の情報化、電子化、高齢化等をひっくるめて、仮に「高度化」と呼ぶならば、この現代の高度化した社会には、従来よりも、市民生活についてのリスクが蔓延しているのである。民法を「空気のようなもの」と感じて、それを知らなくても何の心配もなく生きていけた時代は、ある意味では幸せな時代だったのかもしれない。けれど、そういう時代は終わった。

 幸福な生活がある日突然破綻をきたさないために、民法の知識を持つことの重要さは、確実に増してきているといえる。

(注)池田教授は、「市民は民法を知らなければならない」と言っておられます。それなら、社会保険労務士中小企業診断士は、普通の市民以上に民法を知るべきだと思うのですが・・・。

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 別途、特定社会保険労務士試験第2問(倫理事例問題)対策としては、関係する社労士法の条文のコンメンタール(逐条解釈)と、それに事実をあてはめるパターン(無限にありそう?)の解説が必要だと考えていて、それは誰も書いてくれないので、私が書くしかないのかな?と思う、今日、この頃です。

 

追伸

 3月18日(金)が、いよいよ合格発表ですね。社会保険労務士連合会のWebsiteより先に、「インターネット版 官報」(直近30日分は無料)が合格者の番号を公表するはずなので、朝からそちらもチェックされることをお勧めします。綺麗な桜が咲くことを祈っています。発表の結果を受けて、喜びとか、悔しさとか、悩みとか、反省をどこかにぶつけたい方は、この記事のコメント欄に書いていただいて結構です(単なる、いたずら書きはお控えください。)。決して、公表はいたしませんので。

外国って、どこの国の話でしょうか?

 まあ、皆さん、聞いてくださいよ(人生幸朗調)!

 仕事で必要なので、YouTubeで事業復活支援金のビデオを観ていたら、たまたま、次に某会が発信している外国人材の活用に関するビデオを見つけて、観ました。

 外国人の採用や雇用の話のビデオを観て(雑誌の記事も)いていつも思うのですが、「外国人とは何処の国の人を指しているのでしょうか?」。例えば、アメリカ人、イギリス人、中国人、韓国人、ベトナム人など、その人の出身国(国籍)を特定して話をしてくれないと、あるときはアメリカ人かな?あるときは中国人かな?またあるときはベトナム人かな?と聞いていて、混乱することがしばしばあります。

 私は、アメリカでアメリカ人の採用や解雇に立ち会ったこともありますし、中国で中国人の採用や解雇に立ち会ったこともあります。それらの前には、現地子会社のアメリカ人や中国人の人事部長と、日本と現地の法律や社会保障制度や採用・解雇の手順の違いについて、きちんとした情報交換と意見交換をして臨んだことは言うまでもありません(解雇の場合は現地の労働法専門弁護士の相談も)。また、アメリカ人を日本で採用して解雇したこともありますが、例えば、相手が、韓国人、ベトナム人、フィリピン人だったりしたら、言語や相手国の法律事情も分らないので、どういう書面を用意して、どのように面接・説明・交渉をしたら良いか、まったく想像がつきません。

 一般論で、「外国では職務記述書(job description)が要ります」とか、「外国では解雇は容易です」とか言われても、それって、アメリカでは前者は一般的だが、後者は高級管理職は難しいし、中国では高級管理職以上は両方そうだが、中級以下は前者は要らないのではないか?と思う訳です。賃金の相場や社会保障制度や労働関係法令なんて、国によってまったく違う(明治維新の頃じゃあるまいし、外国なんて括るべきでない)と考えるべきだと思います。借り物の知識で、グローバル化した現実の社会の問題が解決できる時代ではなくなっていると思うのですが・・・。

 外国人とのコミュニケーションは難しいですよとか言われても、そんなもの「異文化コミュニケーション(cross cultural communication)が難しい」のは、ビジネス英語のテキストでも書いてあることだし、ましてや、労働契約の準拠法(governing law)や合意管轄(jurisdiction)の話を、(国際私法に精通した)法律の専門家でもない、英語での海外取引もしたことのない人に、聞きかじりの知識で言われても、何の役にも立たないと思うのですが・・・。

 実務に役立つ情報提供を目指すのなら、せめて、どこの国の外国人かを特定して(例えば、ベトナム人とか、ブラジル人とか)、その人が技能実習生で日本に来て(あるいは、留学生がアルバイトとして)自分の会社で働くとして、貴方が人事部の担当者だったら、このような手続とチェックポイントがありますよというような説明をしてくれた方が、もっと役に立つビデオになると思うのですが、無い物ねだりなのでしょうか?

 たとえば、インド人はヒンズー教徒で牛肉は食べないので、歓迎会ですき焼きをごちそうするのは止めましょうとか言ってみても、私の、シカゴ在住のインド人の友人は敬虔なヒンズー教徒で、およそ生き物は一切食べません(牛、豚、鶏、魚、卵など)し、嗜好品のタバコやコーヒーすら口にしません。

 これは、笑い話ですが、彼と真冬にシカゴのマクドナルドに行ったときのことです。そもそもマクドナルドに彼の食べられるものがあるのか心配しながらです。

 私が、ビッグマックとホットコーヒーを注文すると、彼は、「Big Mac without beef and hot chocolate.」と言う訳です。何が起こるのか?と期待してみていると、ヒスパニック風の若い女性の店員(crew)が、奥から人造肉(おそらく大豆)のハンバーガーとカップに入ったココアを持ってきました。

 シカゴで、インド人二人とサウジアラビア人と私の四人で、Chinese vegetarian restaurantに行ったときには、サウジアラビア人が、「Egg roll without egg.」と注文したときには、(皮と具に)卵を入れない春巻きがでてきて驚きました。もちろん、他の中華料理も全部ベジタリアン向けでした。確か、メニューに、流石に天津飯はないことを確認しました。そして、そのサウジアラビア人が、インド人達に向かって、自分は日本に行ったことがあって、(この店の米はまずいが)日本の米は、いかに甘くて柔らかくて美味しいかという話を、ノンアルコールビールを何本も呑みながら延々していました。こんな、彼らと一緒に仕事をすることを考えると、正直ゾッとしますね。毎日、朝から晩まで、質問と回答の応酬で、疲れ果てるでしょうから。

 これが異文化コミュニケーションというものです。でも、少子高齢化で人口減少著しい日本が、外国人を単なる一時しのぎの低賃金の労働者としてではなく、本当の意味で対等な労働者や移民として受け入れるとしたら、もっともっと、日本人が変わらなければ(世界を知らなければ)ならないと思う、今日、この頃です(責任者呼んで来い!とまでは言いませんが。)。