TokuteiJuku’s blog

特定社労士試験の勉強と受験

受験生の層(質)が変わったことが原因か?

 前回第2回第2問(倫理事例問題)の解き方の説明をしていて、気になることがありました。初期で易しいはずの第2回特定社労士試験が、社労士法第22条以外(民法会社法)の理解がないと高得点が望めない試験問題になっていることに違和感を持ったのです。

 そこで思い出したのが、能力担保研修の馬橋隆紀弁護士のビデオ講義です。初期の受験生は、ベテラン社労士で社会経験や人生経験が豊富な人が多かったが、最近は社労士試験に合格したばかりの人や、若手で社労士経験の浅い人が多くなっている云々と言っておられたと記憶しています。そこで、「第16回(令和2年度)特別研修 中央発信講義 教材」P9~の馬橋弁護士担当の「専門家の責任と倫理」を読み返しました。

P12にこう書かれています。 

「6.能力担保研修の現状

  • 社労士に代理権が与えられたのは、それまでの社労士の知識や経験を活かすことが前提
  • 能力担保研修は、本来、その知識や経験に上乗せするもの
  • 当初の受講者はそのような人がほとんど
  • 講師との双方向、多方向授業は活発であった
  • 今、受講する皆さんの多くは、最近の社労士の試験に合格した人とか、実務経験の少ない人が多い状況
  • 経験の少ない人は、この制度の由来等も考えながら学んで欲しい」

 

なるほどと、納得しました。第2回第2問は、民法会社法の知識を問うのではなく、社会経験・人生経験の豊富なベテラン社労士の会社や個人の顧客とのつきあいの中で身に付けた肌感覚(職業的な勘)から、Aの持つ社労士甲への期待・信頼とか、B社とD社は一体と考えるべきではないかとか、に気付いてくれたら点を差し上げましょう、社労士としての経験を評価しましょうという出題者の意図があったのではないか?と考える今日この頃です(懐かしい、桂枝雀の口癖)。

 こう考えてくると、10数年後に、過去の問題を現在の論理と知識で解いて行くことに若干の迷いが生じます。あの当時だったら、こういう受験生に、こう答えて欲しいと考えてこう出題したはずだから、当時はこういう答えがベストだったが、現在の状況ではこう回答した方がベストであると、古い過去問には説明用に2種類以上の解答パターンを用意する必要が生じているのかもしれません(やってみなければ分りませんが。)。

 まあ、私は色々考えて見ますので、受験生の皆さんは、自分の時間を興味本位の調査や思索に費やすることなく、私の検討結果から自分に合った解答パターンを身に付けていただければと思う今日この頃です(再び、桂枝雀)。

 上述の教材を見ていて思い出したのですが、第16回能力担保研修には安西愈弁護士の「中央発信講義 労働契約総論 [補講] 」というのがありました。そのビデオ講義のために「特定社会保険労務士の個別労働関係紛争手続代理業務の基礎知識 レジュメ」が送られてきています。この内容は、特定社労士試験第1問(紛争事例問題)の解き方のベースになる情報が載っていて非常に重要です。以前紹介した、山川隆一著「労働紛争処理法」弘文堂を、ギュッと圧縮したようなレジュメです。先に基本書を読んでからこのレジュメを読むと、当たり前のことばかり書いてあるということになります。

 とにかく、第2回第2問の解答例は、次回書きます。ハードルを自分で上げてしまった感じです。