TokuteiJuku’s blog

特定社労士試験の勉強と受験

令和6年度の塾の運営について

 ブログを「はてな」から「note」に移した最大の理由は、3年間の塾運営で、かなり教材が貯まってきたので、それらを整理して内容をブラッシュアップし、①最近の過去問の構造の分析、②第1問(第11回~第19回)の過去問解説集、③第2問(第1回~第19回)の過去問解説集、④第1問のテーマ(論点)別(オリジナル)練習問題集の4冊(もっと細かく分割はあり得ます。)を有料で配信しようと考えたからです。それぞれの公開時期は未定ですが8月末までに全部配信する予定です。塾生用のレジュメ(サブノートのたたき台)は、今までとおり、公開しませんが、サブノートの作り方は、ブログで手ほどきする予定です。

 もちろん、昨年度までのように、「ざっくりした話」や「基本書の紹介」などの無料の記事を書いたりしながら塾生を募集して、9月からオンライン授業や答案添削をやることも続けますが、遠く離れた場所に住む受験生や、仕事で忙しくて勉強時間が細切れの受験生などに対しては、(毎週少しずつ公開するより)ある程度まとまった量の教材を先にお渡しして、それぞれの都合に合わせて勉強してもらう方が便利かなと考えた次第です。

 加えて、昨年度(第19回)では久々に民法の問題が出題されたので、民法の総則(意思表示、代理、信義則など)と不法行為などについての解説を書いていきたいと考えています。

 以上は、あくまでも現時点で考えていることなので、状況によっては、変更になることをご承知おきください。

 次回の記事「第20回の試験に向けて」は、3月23日に公開する予定です。

 

note.com

合格発表から3日経ちました。

 15日(金)、第19回特定社労士試験の合格発表がありました。連合会のWebsiteを見て、まず驚いたのは、受験者数が900人を切ったことでした。次に、あれだけの難問だったのに、合格最低点が、例年と同じく55点だったこととそれでも合格率が5割を超えていたことです。

 毎回、この試験は一体どのように採点しているのか?本当に公正な採点がなされているのか?との疑問が湧くのですが、今回は、問題が難しかっただけに、一層、そう思いました。合格間違いなしと思っていた塾生が不合格になる一方、第2問(倫理事例問題)で、20点を超える高得点を獲得して合格する塾生が複数いるのを見ていると、本当に、よく分からない試験だと思います。

 今回は、出題の趣旨が今までになく具体的に書かれていたので、自分の分析が間違っていなかったという確信が得られたことは、助かりました。

 いずれにしても、この第19回の問題は、第1問、第2問ともに、今までで一番よくできた問題だったと考えています(ただ、出題の趣旨を読むとその内容に若干疑問があります。)。したがって、第19回の過去問を徹底的に分析すると、特定社労士試験の出題範囲と回答の書き方の半分以上をカバーする勉強が出来るのではないか、と考えています。

 例えば、第1問では、第19回は第14回以来問われなかった錯誤(民法)が大きなテーマとなる一方、第2問小問(2)では双方代理(民法)がテーマになるなど、民法総則の勉強が欠かせないという印象を受けました(出題の趣旨が社労士法22条2項だけで解けると書いてあるのには違和感があります。)。同小問(1)では、直接には社労士法の条文の解釈の知識が問われているのですが(出題の趣旨に中央発信教材に書かれた解釈の内容について触れられていないのが気にかかります。)、それを知らなくても、何か変だなという感覚(社会常識)があれば、フェイルセーフ(安全な方に転ぶ)が働いて、妥当な解答を導き出すことができたのかなと思う訳で、従来から、よく倫理事例問題で必要知識として問われてきた会社法の実務に基づく知識と併せて、(法的三段論法の運用能力に加えて)経済社会の常識力が問われているのだなと考えるようになりました(以前からそう考えてはいましたが、今回、確信しました。)。

 そこで、第20回特定社労士試験に向けて、情報提供のやり方(ブログのメディア選択、書き方、教材のブラッシュアップなど)について、もう一度見直すことにしました。2月から3月の前半は滅茶苦茶忙しかったので、なかなか、できなかったことを、(比較的暇な)この2週間を使って整理したいと考えています。

 よって、3月末には、第20回特定社労士試験に向けての方針を打ち出します。

月刊社労士2月号

月刊社労士2月号を読みました。毎号読んでいます。大阪府社会保険労務士会の隔月刊ザ・えすあ〜るも毎号読んでいます。様々な情報が提供されていて、折角、無料で送られて来るので、熟読とはいいませんが、ざーと読まれることをお勧めします。

 

さて、月刊社労士2月号P52から、労働保険審査会裁決事例という記事が載っています。労災保険上の労働者性の判断の事例という珍しい事例が載っているので、是非、読んでみてください。

第19回(倫理)について質問を受けました。

 試験から2か月が経過し、発表まで1か月余りとなったので、そろそろ受験生はそわそわしだしたものと思います。実際、模範解答や採点基準が公表されておらず、毎年ボーダーが55点で合格率が5割前後と言う、合否の判断が極めてブラックボックスにある上に、第19回は(おそらく)今までで1番難しかったと思われるので、受験された皆さんの不安は想像するに大変なものだと思います。

 ところで、塾生から、某雑誌の模範解答に第2問(倫理)の小問(1)(2)に私と違う答えが書いてあるが、どちらが正しいのか?との質問を受けました。

 まず、小問(1)です。以前も書いたとおり、受任の予約をしているから、社労士法22条2項に触れて受任できないという解答は(理由としては)×です。

問題は、この甲とBの会話が、社交辞令の範疇から一歩も出ず、二人の会話の言葉と雰囲気と周囲の状況が、Bが甲に対して何も期待していない状況だったのか、それとも甲に対して若干は受任してもらえるだろうという期待を抱かせていたのか、または、周囲の人が二人の会話を聞いて、どう評価したかの判断の問題です。

 設問で与えられた情報から、単なる社交辞令だから、社労士法22条2項に触れることはないし、守秘義務違反にもならないし、受任しても構わないとビジネスライクに判断することは可能だと思います。その場合、結論は受任できるになります。これでも十分合格点になると思います。

 しかし、私が不思議に思うのは、①商工団体の立食パーティで、初対面の甲に対して、立ち話で従業員から違法解雇の損害賠償請求の内容証明郵便が届いたことを打ち明けて、労働局のあっせんになったらよろしくとまで依頼することがあるのか?②甲は事件の当事者が誰か?や不当解雇かどうかも分からない段階で、「わかりました。こちらこそよろしくお願いします。」と即答することがあるのか?の2点です。

 私の経験だと、事件が起こりそうで弁護士を探す際には、まずは手駒の中から(利益相反とスケジュールを勘案して)頼めそうな弁護士をピックアップして、仕事の(口頭で)予約契約を締結するし、弁護士の方も、将来、もっと重大な案件の受任に支障がると困るので、簡単に予約契約の締結に見える(聞こえる)ような返事はしないのですが・・・。本当に委任・受任の予約契約の交渉なら、もっと本格的な準備をして場所を選んでなされるはずだから、この場での会話は社交辞令の範疇内のことととらえて構わないという評価・判断も不合理だとは言えないと思いはするのですが、・・・。

 そもそも論として、仮にBがそのような会話をしたとして、甲はどう回答すべきだったか?を考える訳です。「個別の案件の受任については、実際にあっせんが申し立てられた時点で、利益相反守秘義務の問題もありますので、関係者しかいない場所で、ゆっくりお話を伺ってから判断させていただきます。」ぐらいの言い方が普通の反応の仕方だと思います。いかにも仕事欲しさに、ダボハゼのごとく即受諾してしまうという態度は、社労士の品位を下げる行為だと思いますし、私がBの立場で甲の返事を聞いたら、「こんな仕事に飢えた社労士は、仕事がなくて、きっと金に困っているだろう。」と考えて、絶対に代理人に選任したりはしません。世の中には、有り余るほど弁護士と社労士がいるので、勝つためには優秀な代理人を選任するべきだと考えるからです。

 ですから、このような返事をBにしてしまった甲が、Cの代理人を引き受けても、事実上Bは困らないだろうとは思うのですが、Bや、その横で今回の会話を聞いていた人が、あの甲は軽率だし、仕事に飢えているんだと考えたり、言いふらしたりする可能性があることを考えると、Cが相談に来た時に、甲はまずBに先日の会話のことをBに連絡してから、BとCのどちらの代理人になるかを判断すべきだと考える訳です。そうすれば、Bからも、この特定社労士は律儀で信用できる人だと思われるはずです。で、その根拠は、このままCの代理人を受任すると「社労士の品位を害するとか、誠実さに欠けるとか、信用を傷つけるとか、公正さに欠けることになるとか」が考えられる訳です。

 ここから先の詳しい解説は、11月28日のブログの記事を読んでください。

 

 次に、小問(2)です。これも以前に書いたとおり、双方代理になるから受任できないという理由は×です。社労士法22条2項3号とただし書のセットで、「他の事件」と考えて受任できるという理由も、同一事件なので×です。

 問題は、弁護士法22条(非弁行為)の前に、社労士法22条2項1号に抵触するので受任できないと言えないのか?という点です。

 設問をよく読んでください。第1回期日と第2回期日の間に、相手方D社の代表者からD社の代理人として行動して欲しいと頼まれているのであって、調停手続の代理人になって欲しいと頼まれている訳ではありません。もしそうなら、労働局にD社の代理人になりますとの代理人許可申請をする必要が生じます。その許可申請をしたらどうなりますか?労働局の窓口で、社労士法22条2項1号に抵触するから却下されるでしょう。そのような馬鹿な提案をD社の代表者が、甲にしているように問題文から読み取れますか?

 結局、この小問は、改正後の民法108条(自己契約及び双方代理等)を理解していますか?その後ろに弁護士法72条(非弁行為)が控えているのが分かっていますか?と問われているのだと考えます。

 小問(2)は、小問(1)ほど悩ましい問題ではないと思います。

 

 

頌春

新年早々、辛いニュースが多くて、気が重くなります。被災された方々や事故に遭われた方々に、お見舞い申し上げます。

ところで、この塾も3年やって来て、色々ノウハウやナレッジも貯まって来たので、今年は、第20回に向けて、教材の内容と情報提供の方法を一新しようと考えています。

例えば、今までは、権威付けのために、有名な学者や弁護士の著作をたくさん引用して来ましたが、今年は、分かりやすさに重点をおいて自分の言葉で書きます。もちろん、参照文献の箇所を示して。

3月の合格発表の後に公表しますから、それまでお待ちください。