TokuteiJuku’s blog

特定社労士試験の勉強と受験

ホットなテーマを特定社労士試験風に解いてみると

 先日、とある勉強会で、テレワーク手当と時間外手当(割増賃金)の基礎賃金の話になったので、ふと、思いつきました。ちょっと、考えて見てください。第2回第1問の解説が終わったら解説します。

 

[Xの言い分]

 新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて、私の勤務するY社でも、東京と大阪本社勤務の管理部門(総務、経理、人事等)所属の全員に、令和2年4月1日から、週3日のテレワークが義務付けられ、令和3年3月末まで実施されました。

 Y社の人事部からは毎月8千円のテレワーク手当が各対象従業員に支給されるとの社内告知があり、令和2年4月末日支給の同年同月分の給与から8千円上乗せで支給され出しました。

 Y社は、時間外手当の計算を当月(例、4月)に行い、その支給は翌月(例、5月)の給与支給日に上乗せして支払っています。

 驚いたことに、令和2年5月末支給の給与明細を見たときに、時間外手当の計算に使う私の時給の単価が、従来と同じく、1,500円だったのです。

 私は、8千円のテレワーク手当も、割増賃金の基礎賃金に入るので、私の基礎賃金としての時間単価は1,520円の間違いではないのかと考えて、早速、人事部に問い合わせました。

 

 [ Y社人事部担当者の言い分]

 Y社の就業規則には、①東京と大阪本社勤務の管理部門(総務、経理、人事等)所属の全員社員に令和2年4月1日以降テレワーク(在宅勤務と同義)が義務付けられていること、②テレワークする日は所属する部の部長が前月末までに指定すること、②従業員の都合の悪い日は部長と協議して変更できること、④Y社はテレワーク手当を該当する各従業員に毎月8千円支給することなどが、規定されています。

 当社のテレワーク手当は、自宅で勤務する際の電気代等の実費弁償的なものであるとかんがえているので、割増賃金の基礎賃金には含まれないので、Xさんの時間単価は1,500円のまま変更がないことを説明しましたが、納得は得られませんでした。

 

第1問

小問(1)

 XがY社を相手方として、大阪府社会保険労務士会にあっせんを申し立てるとして、「求めるあっせんの内容」はどうなりますか、箇条書しなさい。

小問(2)

 割増賃金の基礎賃金から除外される賃金には、どのような賃金がありますか?最高裁判決および厚生労働省令の改正によって限定列挙とされている、7種類の除外賃金を列挙しなさい。

小問(3)

 Y社のテレワーク手当は、小問(2)で現地列挙した除外賃金に含まれてY社の主張どおり時間単価には加えずにすみますか、それともXの主張するとおり除外されずに時間単価に加える必要がありますか?

ア 加えない、イ 加える のいずれになるか、その記号を書いた上で、解答欄(省略)に250字以内で、その理由を書きなさい。

小問(4)

 Y社のテレワーク手当を、時間外手当(割増賃金)算定の根拠に加えない(入れない)ことを明確にするために、Y社は、①実際の取扱いと②就業規則の記載(規定の仕方)をどのように改めれば良いか?あなたの意見を①と②、各200字以内で解答欄に書きなさい。

 以 上

 

 ここでの問題は、割増賃金算定の基礎に含まれない(除外される)賃金は7種類が判例と省令で限定列挙されているにもかかわらず、(少なくとも表面上は)この7つに含まれない手当(賃金)を除外する理由とそれを実現するための措置をどう考えるかです。以前、解雇権濫用法理が解雇の事例に共通する考え方だから、解雇がらみの個別の論点が思い浮かばなければ、解雇権濫用法理まで遡って考えれば、なんとかなるのではないか?というお話しをしました。この問題でのヒントは、賃金とは何か?という「そもそも論」を展開することです。「樵木を見て森を見ず。」と言います。困ったら、原点に立ち返って、そもそも論から考え直してみる。頭に血が上っている試験本番でも、そのような冷静さと基本への忠実さが求められます。

 

 ところで、私は、土佐の高知で生まれて育って、大学に入学するために大阪にやってきた訳ですが、まあ、最初は、土佐弁と関西弁の違いに苦労しました。昔は、ラジオの深夜放送で、笑福亭鶴光オールナイトニッポンやアリスの谷村新司のセイヤングを聴いていたので、多少は馴染みがありましたが、大阪の府立高校出身者が多くて、彼らの話すコテコテの大阪弁には、往生しました。最初は、皆が話す大阪弁(関西弁という方が適切)は、どれも同じだろうと思っていましたが、だんだん慣れてくると、京都府出身者と神戸市(兵庫県)出身者の話す言葉に微妙に違いがあるのが分ってきました。そして、大阪組がいないときに、京都組や神戸組と話していると、どうも彼らが(下品な?)大阪組を嫌っていて、関西人として十把一絡げに一緒にされたくないと考えていることが分ってきました。「たこ焼き、吉本興業阪神タイガース」は大阪だけを表現していて、京都や神戸は違うぞ!」というのは、長く大阪に住んでいて、実感として分ります。ちなみに、奈良は、明治維新後の廃藩置県のとき、最初は大阪府に含まれていたものが後に奈良県として独立したので、余り大阪との区別を喧しく言う奈良組にあったことはありません。口の悪い大阪組は、「奈良は大阪の植民地や!」と言っていましたが、奈良組は笑って受け流していました。

 余談ですが、大学時代の下宿(堺市)の大家さんは生粋の堺人で、電車で大阪市内に行くときは、「大阪に行ってくる」と言っていました。「大阪府という呼び方は、元々大阪ではなかった地域も含めて呼ぶ名前で、けしからん。堺は昔からいっぺんも大阪になったことはない」といつも言っていました。

 なぜ、こんな話をし出したかと言うと、木津川計(上方芸能発行人)著「都市格と文化 大阪から全国へ」自治体研究社という本を読んだからです。同書には、関西3都市の都市としての格(文化の力)が、一位京都、二位神戸、三位大阪となっていると書かれていました。加えて、大阪府は人口において神奈川県に抜かれ、経済力(工業生産力)において愛知県に抜かれ、いわゆる都市力においても、東京に次ぐ大都市というには力不足になってきています。京都発祥の大企業が本社を東京に移転せずに京都に残り、大阪発祥の大企業がどんどん東京に移転している(それで大阪経済が地盤沈下している)違いの理由を、先ほどの都市格(文化の力)から解き明かして、大阪の再生を(経済人ではなく)文化人の視点から論じてくれているので、私の過去の経験および現在までの生活実感にも合致していて、しかも新鮮でした。特定社労士試験とは、まったく関係のないお話でした。